【シリーズ=教養の饗応】(3/8配信第7号)
七十二候では、「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」です。
第7号の配信です。
【トピックス】
・鉄鋼重量計算に関して・・・
鉄鋼業界では、重量単位で単価を掛け合わせて金額をはじき出しています。
それでは、その基となる重量はどうやって計算されているのでしょうか?
鉄鋼重量計算では「JISZ8401」に則って重量計算を行います。
基本的には、「有効数字3桁」と「四捨六入」です。
有効数字四桁目が「5」の場合には、五桁目が不明の場合にのみ、三桁目
の数字が「偶数ならば切り捨て」、「奇数ならば切り上げ」という、やや
こしいルールがあります。
条鋼類でも鋼板類でも、1本あたり(=1枚あたり)の単位重量を算出した
上で、本数(枚数)を掛け算するのげ原則です。その場合ももちろんそれぞれ
の計算の途中で「有効数字3桁」の基本原則が適用されます。
下記のリンクをご参考にされてみて下さい。
https://kikakurui.com/z8/Z8401-2019-01.html
http://jiswordkeisann.web.fc2.com/thoughtsofyu2.html
http://www.nakamura-kizai.co.jp/pdf/JIS_rounding_square_2021-10-13.pdf
https://huoblog.site/jis-z-8401/
・丸パイプの単位重量の計算式
単重(kg/m)=(パイプの外径(mm) – 肉厚(mm))×肉厚(mm)×0.02466
【今日の教養】
「インフレ」「デフレ」「スタグフレーション」って何?・・・
「インフレ」・・「インフレ」と略して呼ばれる「インフレーション」は、ある一定の
期間、物価が上がり続けることを指す経済用語です。たとえばこれまで100円で購入
できていた商品が150円になった場合、インフレが進行したといいます。
ではなぜ物価が上昇するのか、代表的なインフレのパターンを紹介しましょう。
まずひとつ目が、供給量に対して需要が増えるインフレです。
資本主義経済においては、商品の価格は需要と供給の力関係によって決まります。需要
が多い、つまり購入したい人が多いため、強気の価格設定をすることができ、市場全体
で物価が上昇するのです。
そしてふたつ目が、通貨の価値が下がることで発生するインフレです。
物価が上がるということは、同じ商品を購入するのにより多くの通貨が必要になるとい
うことでもあります。つまり、通貨の価値が低くなった状態と言い換えることもできる
のです。たとえば中央銀行が発行する通貨量を増やすなど、何らかの理由で通貨の価値が下落すると、商品を購入するためにより多くの通貨が必要になり、結果的に物価が上昇します。
一般的にインフレというものは、好景気の時に発生するといわれています。需要や通貨
供給量が増えることで、企業の収益が上がり、賃金が上昇して個人の収入も増えることが多いためです。
しかし不況で賃金が減少しているにもかかわらず、何らかの要因でインフレが発生して
通貨価値が下がってしまうことがあります。不況下で発生するインフレは、「スタグフ
レーション」と呼ばれます。
「デフレ」・・一方の「デフレ」は、正式名称を「デフレーション」といい、物価が下
がり続ける状態を指します。デフレが発生する原因は、インフレとは逆の状態だと考えるとよいでしょう。
たとえば需要に対して供給が多いと、供給側は商品の売れ残りを防ぐために、価格を下げて購買意欲を高めなければなりません。また通貨の供給量が減少すれば、通貨自体の価値が高くなり、商品の購入に必要な通貨量が減少、価格の下落につながります。
また一般的に、デフレは不況下で発生しやすいといわれています。物価が下がると企業の収益も減少し、賃金の低下につながり、消費の低下を招き、売り上げを確保するためにさらなる物価の引き下げが生じるという仕組みです。
このように、デフレと企業の減益が連続して起こる状態は「デフレスパイラル」と呼ばれます。デフレが長引くと不況の長期化につながり、経済に深刻な悪影響を及ぼすことになるのです。
「スタグフレーション」・・スタグフレーション(stagflation)とは、 スタグネーション(stagnation:停滞)と インフレーション(inflation:物価上昇) を合成させた言葉で、景気後退局面にありながらもモノ不足によりインフレの状態となることを意味する。別名、スランプフレーションとも。
過去の例で言えば、1970年代のオイルショックの際に原油価格が4倍に跳ね上がり、日本を含む多くの国がスタグフレーションに陥った。 一般的に不景気の中ではデフレ圧力がかかりやすいが、賃金の上昇が見込めないにも関わらず物価が上昇することから、最悪の経済状態と言われている。
【暦(こよみ)に関して】
二十四節気の「啓蟄」とは・・・二十四節気の一。太陽の黄経が345度になった
ときをいい,現行の太陽暦で3月6日頃。二月節気。また,このころ冬ごもりを
していた虫が穴から出てくることをいう。
詳しく知りたい方は下記リンクへ・・・
https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s7.html
七十二候の蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)・・・「蟄虫啓戸」は、二十四節気
の「啓蟄(けいちつ)」と同じで、地中で冬ごもりをしていた生きものたちが春の
陽気を感じ、姿を見せてくれる頃。毎年3月5日〜9日頃が「蟄虫啓戸」の季節に
なります。
虫とはいいますが、カエルやヘビ、トカゲなど、さまざまな生きものが目を覚まし
はじめます。カエルやヘビが苦手な人にとっては気が重いかもしれませんが、ウト
ウトとまだ眠そうにしながら這い出てくる姿を想像すると、「おはよう」と、少し
微笑ましくなります。
「蟄虫啓戸」の「蟄」は、生きものが土の中にかくれているという意味。
「啓」は閉じているものを開くという意味があります。
「啓蒙(けいもう)」や「啓示(けいじ)」などと使いますね。
「戸」は、戸を開くの「戸」ですが、人と同じように見立てているところが面白い
ですね…。なんだか生きものに対する愛情を感じます。
詳しく知りたい方は下記リンクへ・・・
https://aozora-records.com/10571.html
【今日の故事成語・ことわざ】
①「流石(さすが)」の語源は・・・?
昔、孫楚という男がおり世の中を嫌って隠居したいという思いを抱いていたのですが、
それを友人の王済に伝えようと「流れに漱ぎ石に枕す(これからは石を枕に寝て、川の
流れで口をすすぐような生活をしたい、の意)」と言いたかったのですが「石に漱ぎ
流れに枕す(これからは川の流れを枕に寝て、石で口をすすぐような生活をしたい、
の意)」と言い間違えてしまったのです。
これを聞いた王済は「何を言っている?川の流れで寝て石で口をすすぐ生活なんてでき
るのか?」と聞いたところ、意地っ張りの孫楚は「流れに枕するのは、耳を洗うためで
あって、石ですすぐのは、歯を磨くためなのだ」と屁理屈をこねたのです。
これに王済が「とんでもない屁理屈だがうまいことを言うな」と感心し、そこから感心
する際に「流石」という表現を使うようになったのです。
この由来からも分かるように、単純に感心するだけではなくその一方で相反する感情も
抱いている時の表現が「流石」なのです。辞書的な説明をするならあることを一応は認めながら一方でそれと相反する感情を抱く様という意味になります。
こうすると余計にわかりづらいかもしれませんが、例えば「カレーはうまいが、3日連続ともなると流石に飽きる」といった具合ですね。カレーのおいしさを認めながらも飽きという感情を抱いているときの表現です。
ただ、最近では「評判や期待通りの事実を確認し改めて感心する」という、単純な感心の時にも「流石」という言葉を使い、むしろそちらのほうが主流になっているといえますね。
「流石」が当て字なのはわかりましたが、ではそもそも「さすが」という言葉はどこから来ているのか?
元々は、上代言葉の「そうはいっても」という意味の「しがすかに」が変形して「さすがに」になり、ここからさらに「に」を落として「さすが」となったのだとか。これは上記の「あることを一応は認めながらもそれと相反する感情」ですね。
ともかく元々あった言葉「さすが」に上記の故事を合わせて「流石=さすが」という風になったのです。
ただ感心するだけでなく、「相反する感情」が少し見える上記の故事がぴったりだったのでしょうね。
そして間違って言ってしまった「漱石枕流」という言葉は、それ単体で「負けず嫌い」とか「頑固者」を意味する言葉となり、さらにはこのエピソードを気に入ってペンネームにしたのがあの夏目漱石です。
元々、新語を作るのが趣味だった夏目漱石にとってこういうエピソードは好物だったでしょうね。夏目漱石というと「五月蝿い(うるさい)」という当て字をして広めたことでも有名です。
②「矢鱈(やたら)」の意味と語源は・・・?
意味は、秩序や節度のないさま。筋が通らないさま。むやみ、みだり、など。秩序や節度がなく、程度が甚だしいさま。ひどく、など。
「矢鱈(やたら)」という言葉からは、乱れている様子や尋常ではない様子、頻繁であったり、程度の度合いを超えているような様子がうかがえます。
漢字で表記すると、「矢鱈(やたら)」となりますが、これは、当て字です。
「矢鱈(やたら)」の語源は、雅楽が由来といわれています。
雅楽とは、日本の古典音楽であり、舞踊です。その完成された音楽体系は、世界でも古い合奏音楽として知られています。
この雅楽の中の『夜多羅拍子(やたらびょうし)』が『やたら』の語源です。
これは『八多羅拍子』とも書きます。 語源⇒雅楽『夜多羅拍子』(八多羅拍子)。
雅楽の『夜多羅拍子』とは、2拍子と3拍子を交互に繰り返す5拍子リズムの一種で、混合拍子です。通常雅楽は、2拍子、4拍子が多い中、この混合拍子の『夜多羅拍子』は、特殊な曲にだけ使われます。この『夜多羅拍子』は、聴く人にとっては調子がつかみにくく、無秩序な音楽に聴こえます。
テンポも速い傾向で、調子も乱れやすいことから、秩序や節度のないさまを『やたら』というようになりました。
③「刎頸の友(ふんけいのとも)、刎頸の交わり(ふんけいのまじわり)」の意味は・・・?
【意味】お互いのためなら首をはねられても悔いのない、堅い友情で結ばれた友。生死を共にするほどの親密な間柄の友。
【用例】●刎頸の友ともいうべき人を亡くして、彼の悲嘆は大きかった。高校時代、お互いの夢を語り合い、感激して刎頸の友になろうと誓い合った。彼のためなら、私はどんなことでもするつもりだ。
【出典】『史記』廉頗藺相如伝
【類語】刎頸之交
【故事】中国の戦国時代、趙の廉頗(れんぱ)将軍は、藺相如が上卿になったのを憤り、これを辱めようとしたが、二人の争いが趙国の不利となるのを恐れた相如(しょうじょ)はひたすら彼を避けた。
これを伝え聞いた廉頗は自分の不明を詫び、以後生死を共にする親交を結んだ。
以下がその故事の詳細です。
藺相如が無事、秦王に取られそうになった「和氏(かし)の璧(へき)」とともに趙国に戻ると、その功績や大として上卿という高い地位が与えられます。当時、廉頗は同じ趙国の将軍でしたがこの地位の上をいったのです。これに廉頗は不満です。私は戦で大きな功績を立ててきた。藺相如は今回口先三寸でうまく立ち回っただけだろう。しかもどこの馬の骨やら身分も低い。あいつの下になるなど我が沽券(こけん)にかかわる。ゆるせん!そこで「藺相如に会ったら必ず辱めてやる」と周囲に宣言します。
ああ、現代の日本でもよくありますよね、こういうこと。ただ「会ったら必ず辱めてやる」とみんなの前で言ってしまうのが中国式です。日本ですとお腹の中にためこみます。
さてこれを聞いた藺相如は廉頗に会おうとしません。朝廷に参じる際も病気と称して廉頗との争いを避けようとしました。出先で遠くに廉頗の姿を見るや車の方向を変え回り道までして彼を避けます。
彼の手下である食客たちは(とうとう藺相如自身が食客を持つ身分になったのです!)「私たちがあなた様に仕えるのはあなた様の徳をお慕いするゆえです。今や廉頗将軍と同じ地位だというのにあの将軍は公然とあなたを侮辱します。それなのにあなたはあまりに将軍を恐れ将軍を避けようとなさる。普通の庶民だってあそこまで言われたら黙ってはいません。ましてあなた様は今や宰相という高い身分。このようなむごい目に遭って我慢しているなんてありえません。ひとつここは私たちにまかせてください」とまで訴えるのでした。
すると藺相如は今にも殴り込みに行きそうな食客たちを押しとどめこう言ってきかせます。
「おのおの方、皆さんは廉頗将軍と秦王とどちらの方が上だと思われる?」食客はすぐさま答えます。
「それは秦王にきまっています」。
「あの傲慢きわまりない秦が我が趙に攻め込んでこないのはなぜか?それはわたし藺相如と廉頗将軍がいるからです。もしわれわれ二人が争えばどちらかが倒れてしまうでしょう。私が今このように耐えているのは、国家の存亡の方が個人の恨みより大事だからなのです」
この話を伝え聞いた廉頗は深く反省します。そして食客たちを引き連れ藺相如の屋敷まで行って心から詫びるのでした。
その後藺相如と廉頗は「刎頸の友」と言われるほどに深い信頼を寄せあい、生死さえ共にしようという友人になったと言われます。
「刎頸」とは首をはねることですが、「刎頸の友」とは、お互いに首をはねられても悔いがないほどの友情を意味します。この話が後に「刎頸の交わり」という成語になりました。
【今日の雑学・雑談のネタ】
<タクシーのメーター>
少し得するタクシーの料金についての雑学です。タクシーの料金メーターは、運賃が上がる前にサインがあります。白点滅4回、赤点滅4回という点滅が出ると、運賃が上がります。少しでもタクシーの運賃を抑えようという時は、点滅サインを確認して、すぐにタクシーを停めましょう。きっとお財布のタメになること、間違いなしです。
【今日の疑問・愚問・質問】
『5+6+7=18』と記載された看板があったそうです。
この看板のメッセージは一体、何なのでしょうか?
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
答え:「コ」「ロ」「ナ」「ワ」「イヤ」と読むそうです。秀逸!
【偉人の名言集】
「子曰く、吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず(私は十五才で学問を志し、三十才で学問の基礎ができて自立でき、四十才になり迷うことがなくなった。五十才には天から与えられた使命を知り、六十才で人のことばに素直に耳を傾けることができるようになり、七十才で思うままに生きても人の道から外れるようなことはなくなった)」とあるのに基づく。
「不惑」で有名な『論語』の「為政」を、原文・書き下し文・意味ごとに紹介
『論語』自体を読んだことがなくても、学校の授業などを通じて「不惑」という言葉は聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。ここでは、もっとも有名だといっていい「為政」を原文・書き下し文・意味ごとに紹介していきます。
・原文
子曰、吾十有五̪而志乎学、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而従心所欲不踰矩。
・書き下し文
子曰く、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順う。七十にして心の欲する所に従えども矩を踰えず。
・意味
15歳の時に学問で身を立てることを決意し、30歳の時に学問を修めて自立。40歳の時には物事を決めるにあたり迷うことがなくなり、50歳で天から与えられた使命を悟った。60歳になると、自分と異なる意見を持つ者の言葉にも素直に耳を傾けることできるようになり、70歳でようやく自分の思いどおりに行動しても道を踏み外すことがなくなった、と孔子は自らの生涯を振り返って述べました。
この話から、「志学」「而立」「不惑」「知命」「耳順」など、年齢を表す言葉が生まれました。
一見、ただ人生を振り返っているだけのように感じるかもしれませんが、孔子ほど多くの人から尊敬を集める偉人でも、はじめから立派な人間だったわけではなく、学問で身を立てるために多くの時間と努力を払って自身を律してきたので、弟子たちも精進を劣らなければ同じ境地に達することができるということを説いています。
【今日の数字】
問題: 世界の宗教人口(キリスト教・イスラム教・ヒンズー教・仏教)は?
答え: キリスト教=約24億人、イスラム教=約18億人、ヒンズー教=約11億人、
仏教=約約5億人。
ちなみに、神道(日本)は約1億500万人、ユダヤ教徒は約1,700万人だそうです。
【今日のジョーク】
<パンデミック>
題名=マスク対策
コロナ禍において、世界各国の政府が国民にマスクの使用を求めることになった。
アメリカ政府はこう発表した。
「マスクをすればあなたは英雄です」
ドイツ政府はこう発表した。
「マスクをするのがルールです」
イタリア政府はこう発表した。
「マスクをすれと異性にモテますよ」
日本政府はこう発表した。
「みんなマスクしていますよ」
【今日の短歌】
『しばらくは離れて暮らす「コ」と「ロ」と「ナ」つぎ逢ふときは「君」という字に』
※「コ」と「ロ」と「ナ」の字を重ね合わせると「君」という漢字になるという字遊び。
【今日は何の日】
本日の3月8日は・・・?
第7号はこれまで。
最後までお読み下さり有難うございました。
以上